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2018-07-20

思い出の場所が無くなっていた





 

ひろのぶです^ ^

ここは思い出の場所

 

あれは小学4年生の時。

当時、世間はミニ四駆ブームでした。

覚えている人も多いのではないでしょうか?

子どもたちは

“ミニ四駆を何台持っているか?”

“どれだけ早い車体を組み立てることができるか?”

そんなコトで大盛り上がり。

当然、僕の周りでも同じような話題が。

 

私学へ通っていたので、友達同士が家で遊ぶコトは稀。

プライベートは明かされないコトが前提の会話がそこにはありました。

何度か登場している父

哲丘さん

威厳のある父でした(生きてます)

 

6年生の時

“ウォークマンを買ってほしい”

と頼めば

 

作れ

と一言

ラグビーを始めた僕が

“鉄アレイを買ってほしい”

と言えば

 

無言で大きな石を指差す男

当然、ミニ四駆など論外




そんな僕ですが、小学生の頃から見栄張りな性格をしていて

ミニ四駆何台持ってる?

との友達からの質問に

 

100台

 

と言う大ウソをかましておりました。

ちなみにその金持ちアピールを証明する為に、自宅に大量にあった新品の鉛筆を、皆に無料で配ると言うバラマキ作戦でなんとか体裁を整えたのですが、後日、豪遊が母にバレて死ぬほど怒られたのは言うまでもありません。

しかしながら、友達が自宅に来るコトが無ければバレる心配もない。

見ることが出来ないのですから。

 

疑わしきは罰せずです。

僕はミニ四駆の名前だけ覚えておけば、全て解決……

のはずが。

何を血迷ったのか、普段何かと規則に厳しい我が校が

“ミニ四駆大会”

なるものを開催すると言うではありませんか。

 

大人とはなんと余計な試みをする生き物か

いつも怖い先生が、妙に優しい声で

“よかったな”

と呟いてくる始末

飴と鞭のつもりだろうがなんだその飴は。

毒入りか?

鉛筆と母に説教された3時間を返せ。

 

当然、周りの男子は大会の話題で持ちきりに。

クラス中で

優勝するのか誰か?

の話題が盛り上がり、圧倒的な兵力を誇る(100台保有との情報あり)僕も当然のごとく優勝候補に挙げられました。

オッズで言うと2.7倍くらいではないかと

中々の本命馬です。

やめてくれ。

皆はサラブレッド思っているが、パドックへ行きよく見てくれ。

 

 

 
ロバだ。

牧場で子どもを乗せるので精一杯で速く走るコトなどできない。

 

仮病を使い

“戦いたかったが、風邪を皆にうつす訳にはいかない”

という紳士らしい最も有効な切り札を駆使しようと考えましたが、我が家の両親は仮病に恐ろしく厳しく

父に至っては

 

“死んだら風邪と認める”

と訳の分からない鬼軍曹のようなコトを小学生に発する人。

当然通じません。




泣く泣く母に状況を伝え、一台だけミニ四駆を買って貰うコトに。

 

問題はここからです。

当然作ったコトがありません。

一台も持ってないんですから。

付け加えると、手先の不器用な僕はプラモデルを完成させたことは一度もありません

出来上がりのフォルムを見れば小学生でも一目瞭然です。

・・・。

どうすれば、この苦境を乗り越えられるか(自分が蒔いた種です)

10歳なりに知恵を絞りました…。

はい。

思いつきました。

 

近所に父の後輩で、自らバイクを組み立てるメカニックがいたんです。

水泳教室の帰りに立ち寄ると、いつもメロンソーダを飲ませてくれる優しいおじさん。

 

頼もう

プロに頼もう

勝利への道筋です。

 

光が見えました。

 

早速、山本のおっちゃん(メカニックのおじさんの名前)の元へ箱も開けずにミニ四駆を持っていき、状況を説明しすると

“任せとけ”

となんとも清々しいお返事を頂きました。

西成区の小さな自転車屋のおじさんが本田宗一郎に見える。

父よ

あなたの人脈はここで役に立ったぞ。

 

なんの心配も無くなった僕は、いつも通りメロンソーダを飲みながら、出来上がっていく様子を高みの見物

なんと言ってもプロです。

本物のバイクを作れる人です。

ミニ四駆なんて、目を閉じながらでも作れるかと

“めちゃくちゃ早いの作ったるからな”

と心強い一言も。

数時間後、とんでもない勢いでタイヤが回転するミニ四駆が完成しました。

モーターがどうのこうの、車体を削ってどうのこうの、電池はどうのこうのと一生懸命説明をしてくれていましたが、そろそろドラえもんが始まる時間です。

一言お礼を述べて家路に着きました。

 

本番当日。

普段、学校に持ってこれないミニ四駆を見せ合い互いのスペックを競い合う男子たち

僕はただ静かに席に座っています。

余計なコトを口にすれば今日までの努力が台無し(注:何も努力をしていません)

そもそも、王者には静けさが似合う。

レースまで沈黙を守る僕。

 

始まりました。

名前を呼ばれ、スタートラインに。

見ていなさい。

大人の力を(注:他力本願)

先生の合図と共に一斉に走り出すミニ四駆たち。

 

僕のミニ四駆は⁉

 

凄まじい勢いでスタートダッシュを切ったひろのぶ号は、そのままコースの壁を押し倒し壁にぶつかり木っ端微塵に。

 

 

バラバラです。

モーターから軽く煙が。

あんなに軽いミニ四駆が粉砕する……

とんでもないスピードです。

レースには負けましたが、勝負には勝つとはこのコトでしょう。

悔しがるふりをして会場を去る僕。

 

山本のおじさんよ。

良い仕事をした。

ここはそんな僕の思い出を作ってくれたおじさんがいた場所です。

また会いたいなぁ。

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コメント1件

  • 高橋修平 より:

    おもしろい!!

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